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「東京物語」
それなりに映画を長く観ていると、いろいろな映画との付き合い方がありまして、最初は良くても何回か観ていくうちにダンダン色褪せてしまう映画と初めは良くなくても二度目観たらものすごく良かったという場合がある。
わたしにとって後者の例は、たとえば「第三の男」。巷では名作の誉れ高かったけれど、観てみると女優も好みではなく、なにしろあの「うまいだろ的な」思わせぶりな演出がどうも鼻についてたまらなく、どこがいいんだろうと思っていた。
ところが40過ぎて、ちょいと見直したところ「やはりいい」これが!
おじさんになったせいなのか、ヒロイン役のアリダ・ヴァリが魅力的に見える。あのはね返り方がまたいい。そうすると、不思議なコトにあの有名なラストシーンがすごくよく見えてくる。すると映画のすべてが連動し始めて、映画全体が自分の中で「退屈な映画」から「素晴らしい映画」に生まれ変わるのです。
前置きが長くなりましたが、「東京物語」もその一つです。というより、小津の映画のほとんどがそのパターンです。10代や20才そこそこの男にとって「小津」の映画は退屈極まりなく、「小津」が良くなってきたのは、35才を過ぎたあたりからでした。
映画の中の老夫婦の気持ちは、老夫婦に近い年齢になった方が、しみじみ理解されるのだろうと思えます。その目線から、原節子の演ずる亡くなった息子の嫁を見、その他の家族達をながめるとしみじみと尾道に帰ってきたあとの老夫婦の気持ちが感じられるのだろうなあと、このトシでも見直してみると、また新たな感慨があるのだろう。
日本映画の名品、ここにありです。
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